2009年10月30日

ISS観測

 本日、早朝3:45、ISS観測のため、近所の展望台へ出発。

 11月も間近に迫り、晴天ということも手伝って放射冷却でかなり冷え込んでいた。もっとも、その程度の事は織り込み済み、一月ほど早い初冬用の格好なので全く問題ない。
 家の周りはモヤがかかり、ほとんど星が見えない。「大丈夫か?」と不安になるが、天気予報と日頃の行い(!)を信じて車に乗り込み、観測ポイントへ。

 観測に使うガジェットは、
  ・コンパクトデジカメ(LUMIX)(以下コンデジ)
  ・双眼鏡
 の2つだけ。

 ビデオカメラも持ち込みたかったのだが、三脚が1台しかないので、今回はコンデジでの撮影のみに留める。(安い三脚を買おう!)

 ISSの上空通過時間まで随分と余裕を見て家を出たが、一度も行ったことのない展望台であったため、20分ほど迷う。まぁ、展望台なんてものは、だいたい山のてっぺんと相場が決まっているので、ひたすら山を登る。

で、まぁこれまた山頂へのルートってのは曲がりくねってはいてもほぼ一本道というのも相場が決まっているわけで、一旦ルートに乗ってしまえば、あっという間に到着。

 現場到着は4:15
 田舎の里山にはちょっと場違いなほど巨大な電波塔が山頂にあり、ここが目的地(途中の看板で確認)。
 近場には広場を挟んで管理棟らしい建物が1軒あったが、車のエンジンを切るとほぼ真っ暗闇。
 目的の展望台は電波塔の隣に建っているはずだが、星明かりか街灯りにぼんやりと浮かび上がる巨大な無機物というのは、どこか恐怖心を呼び起こす。

 電波塔の南側に位置する上下2相の展望台の階段を手元の小さなライトだけを頼りに、恐る々々登る。
 屋上に着くと、一気に視界が開けた。周囲の木々がちょうど視線より下になったため、周囲の街灯りがよく見える。だが、そんなことはどうでも良い。久々に見る満天(というほどでもないが)の星空の感動は、寒々しい鉄塔の恐怖感などどこかへ消えてしまうほどだ。
 しばらく独りで「ほぉ~」だの「おぉー」だのと感嘆しながら空を眺める。もう夜明けも近い事もあって、見える星座は冬のものだ。とは言っても、ソラで判るのはオリオン座と冬の第三角くらいのものだけど…。
 ここで星座早見表を持って来なかった事を大後悔するが、時既に遅し。諦めて観測準備に取りかかる。
 そこそこの広さのあるこの展望台には、先客もなくほぼ独り占め状態。展望台の端には、ご親切に東西南北の方位を示す石碑が設置されており、物置場兼方位確認にうってつけだ。
 というわけで、三脚を設置してコンデジを据え付ける。荷物は石碑の上に、方位の表示見えるように置く。そして、家でプリントアウトしてきた「国際宇宙ステーション(ISS)を見よう」のページでISSの出現方向、通過方向を確認する。
 
 このページによれば、5:03以降西の空から出現し、ほぼ天頂を通過して、南東の空へ抜ける予定。この時点で、まだ4:20を少し回った程度。
 ものは試しと、コンデジの星空モードで冬の星座を取りまくる。ここで問題発覚。この星空モード、15秒、30秒、60秒と露光時間を変更出来るのだが、撮影後同じ時間だけ「お待ち下さい」状態になる。
 なんてことだ。ISSの通過は最大で3分少々、60秒露光した後60秒何も出来ないでは、シャッターを2回しか切れない。撮影開始の位置を間違えると、ISSが画角の外に行っても、2分間何も出来ない……。いくらなんでもそりゃリスク高い。なにしろ、このコンデジの液晶、解像度の問題なのだろうが、空にレンズを向けても、全く星が見えない。何がフレームに収まっているのかカンだけを頼りにシャッターを切らなければならない。60秒はないな。という事で、最大3回シャッターを切れそうな30秒露光で撮影を行う事にした。
 
 で、まだまだ、時間が余っているので持ち込んだもう一つのガジェットである双眼鏡で星空ウォッチ。家に転がっていて、チビどものおもちゃにされていた双眼鏡であったが、思った以上によく見えた。
 オリオン座のベルトを右側へ、だいたい突き出した拳3つ分伸ばした辺りに、ぼんやりとした光塊を見つけた。双眼鏡を向けてみるとソレがスバル(プレアデス星団)のであるという事がすぐに判った。なにしろ、某自動車メーカーのエンブレムそのままだしw
 かなり感動しながら、あっちこっちの星を双眼鏡で眺める。
 うーむ、双眼鏡侮り難し。
 何しろフットワークが軽い。あっちこっちを気分の赴くままに眺められるというのは非常にイイ。こりゃ、天体望遠鏡を購入した(稟議は却下(T-T))としても双眼鏡は手放せないな。
 
 ちなみに、この間にも人工衛星らしきものが北→南に通ってゆく様が観測できたが、残念ながら写真には写らなかった。
 
 そんな風に寒さも忘れて空を眺めている内に、時間が近付いてきた。
 が、今にして思えば、何を思ったのか定かではないが、ふと、「日本海はこっちじゃん」と今までカメラを向けていた方向とは真逆にカメラをセットし直してしまった。
 時間は近づく。5:03、もういつ見えて来てもおかしくない時間だ。が、見えない。見えない。
 時計を確認すると5:05を回っていた。おかしい、おかしいぞ。
 ふと、振り返ると、かなり高い位置に周りの星より、数段明るいオレンジ色の光点が、見た目、ジェット機の数倍のスピードで天球を移動していた。
 しまったぁー!
 と叫ぶ暇もなく、カメラを光点の未来位置へ向ける。焦る気持ちを抑えつつ雲台をしっかりと固定、すかさず、しかし、やさしくシャッターを押し込む。
 かくして、30秒露光がスタート。その間こっちは肉眼で天頂を横切り、東の空へ落ちてゆくISSを追う。

 結局、シャッターは2度切る事が出来た。
 最初の呆けさえなければ、西の空で冬の星座を貫くISSの画が撮れたのかと思うと、悔しくて悔しくて…
 とはいえ、数年ぶり…いやいや十数年ぶりに気合いを入れた天体観測は、なかなか面白く、こりゃ病みつきになるなと思える感触を得た。
 
 当面の課題は一眼レフ+広角レンズとレリーズだなぁ。


天頂付近を通過中のISS


西の空に去ってゆくISS


ISSが見えなくなってすぐ空が白んできた。

まだISSにはHTVが接続競れているが、明日には分離、数日後には大気圏突入だそうな。
HTV-1の取り外し、分離の様子は、本日22:15~ここで中継される。←備忘録。